今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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書籍紹介:吉田正太郎「カメラマンのための写真レンズの科学」
【今日の夕食】
 育休期間中の残りの土日は、私が料理を担当することになりました。
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FUJIFILM X20;90mm相当、F2.5、SS1/105、ISO400
★米飯

★みそ汁、じゃがいも・人参・いんげん

★かつおたたき
 薬味は、ニンニク・ショウガ、ミョウガ、小ネギです。

★ナスピーマン舞茸炒め煮

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【今日のおじさん】書籍紹介:吉田正太郎「カメラマンのための写真レンズの科学」
 今回は、写真用レンズの理論について書かれた書籍、「カメラマンのための写真レンズの科学」(吉田正太郎)を紹介します。


★一般解説書と専門書の間を埋める「稀有な書籍」!
 先日、鎌倉市の図書館で、興味深い本を見つけました。吉田正太郎著、「カメラマンのための写真レンズの科学」[1]です。時間をかけて、ゆっくり中身を読みたいと思ったので、古書で入手しました。
[1]吉田;カメラマンのための写真レンズの科学、地人書館、(1997)
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 中身は、主にレンズの理論ですが、写真レンズに特化されているのが特徴です。例えば下のページでは、「収差」について、詳しく書かれています(収差だけで34ページ、51枚の図が用いられています)。実際のレンズ構成を示しながら、具体的な数値を使って解説しているので、イメージをつかみやすいです。
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 多くはないですが、数式もきちんと記述されています。多くの一般的な解説書では、「数式を省いて分かりやすくした」などと書かれていますが、数式がないと、私にはサッパリ理解できません。特に「定量的把握」には、数式は欠かせません。
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 いわゆる「専門書(教科書)」ではありませんが、一般的な「解説書(図解雑学の類)」よりは踏み込んだ内容だと思います。解説書では物足りないと感じている方、光学(幾何光学)の実際の計算方法の概要を知りたいという方には、ピッタリの内容だと思います。

 以下、目次と、各章の記述内容をまとめておきます。購入検討の際の、ご参考になりましたら。



★目次
1.写真レンズの一般的な性質
2.写真レンズができあがるまで
3.写真レンズの収差
4.普通の形の写真レンズ
5.特殊な写真レンズ
6.ズーム・レンズ


★内容
◎1.写真レンズの一般的な性質
 1章では、「焦点距離」、「屈折の法則」、「F数(F値)」といった、レンズの基本的な性質を、丁寧に解説しています。特に「1.9 結像の一般式」の項では、レンズの界面(空気-ガラス、ガラス-ガラス)で光線が屈折するときの考え方を、きちんと数式を使って解説しています。
 この式と、レンズのスペック表があれば、あらゆるレンズの特性(収差など)を、自身で計算することが可能そうです。実際に数値を入れて自分で計算してみたくて、ウズウズしました。

◎2.写真レンズができあがるまで
 2章では、レンズの製造方法について述べています。ガラス製造からスタートして、研磨、コーティング、組立まで。
 この章では、さまざまな種類の「光学ガラス」についての解説が、とても興味深く感じました。カメラ用交換レンズのカタログを見ますと、「EDガラス(異常分散ガラス、Extra-low Dispersion)」という記述が見られますが、これがどんなガラスなのか。光学ガラスの重要な特性値「屈折率」と「アッベ数」をプロットした「光学ガラス一覧図」が、日本列島のような分布になることは、非常に面白いです。

◎3.写真レンズの収差
 3章は、レンズの収差について、詳しく解説しています。この書籍のメイン議題とも言え、たくさんの事例を挙げて、たいへん丁寧に示していますので、読んでいて興味が尽きません。これまで、レンズ関連の解説書をいくつか読みましたが、収差については数式をほとんど用いず、簡単に説明されているだけで、物足りなく思っていました。その点、この書籍では、実在する写真用レンズを使って、きちんと数式や作図によって、定量的な解説を行っていますので、とても読み応えがあります。やはり「自分でも計算してみたい」と思わせてくれる、本格的な内容です。各収差をどのように補正するか、具体的なレンズ構成とともに示されているのも、たいへん有用だと感じました。
 この本を読んで知ることができたのが、いわゆる「ザイデルの5収差(球面収差、コマ収差、非点収差、像面湾曲、像の歪曲)」が、屈折の関係式に見られるsinθの項を多項式展開したときの「θ^3(θの3乗)」の項までを考えたときに現れる収差である、という事実です。つまり、sinθには5次以上の項もありますが、これらを考えると、別の収差も現れてきます(例えば「シュワルツシルドの9収差」など)。数式を用いて具体的に解説することで、収差の全貌が分かりやすくなり、とても面白いと思います。
 以下の記述が、本書の立場をよく表していると言えます(74ページ)。
「さて、レンズの収差の取扱いにはいろいろな立場があります。例えば、写真レンズ設計者のための収差論や、数学のひとつの部門としての収差論は、いずれも複雑な数式を沢山ならべた学問で、理工系大学卒業程度以上の数学の素養がなければ、理解し切れるものではありません。
 反対に、○○写真教室というような通俗書では、最小限度に必要な数式を使うことさえも遠慮して、収差という問題を、たとえ話的、定性的、観念的に説明している本が多くて、実際の収差の定量的な作用効果については少しもわかりません。
 そこで、この本では、写真レンズを使う人の立場になって、収差とはどのような性質を持っているか、収差はどれくらいの量か、科学的な撮影のためにはどのような注意が必要かなどということを、中学程度の数学を使って、できるだけ正確に説明しようと思います。」

 まさに、「一般書と専門書の架け橋」といった役割を志向していて、私の求めていた内容にピッタリです。

◎4.普通の形の写真レンズ
 4~6章では、特許明細書などを参考にしながら、実際のレンズ構成を正確に作図して示し、その構成上の特徴や、特性値(収差)を詳細に検討しています。カメラ用レンズのカタログを見ていると、図面とともに「8群12枚」とか「4群6枚」とか、レンズの構成概要が書かれています。4章に示された「色消単玉」、「トリプレット」、「テッサー型」、「ガウス型」といったレンズの基本形を知っておくことで、こうしたレンズ構成が何を意図しているのか、僅かながら想像できるようになるかもしれません。

◎5.特殊な写真レンズ
 5章では、焦点距離がレンズ全長よりも長い「望遠レンズ」(カメラユーザーが呼ぶ通常の「望遠レンズ」とは定義が異なります)、広角レンズで用いられる「レトロ・フォーカス型レンズ」などを、実際のレンズ構成を引用しながら解説しています。現在のカメラでは「フランジバック」の統一により、広角から望遠まで、さまざまなレンズを交換して使用できます。このようなシステムを実現するためには、レンズ全体のサイズを保ちながら、焦点距離を自在に設計できなければなりません。本章で示された望遠レンズやレトロフォーカス型レンズは、不可欠な要素となります。

◎6.ズーム・レンズ
 6章では、画角を自由に調整できる「ズームレンズ」を解説しています。ズームレンズの特徴は、①焦点距離が可変であり、②焦点距離を変えてもピント移動が僅か、という点です。このような特徴を実現するために、具体的にどのようなレンズ構成がとられているのか、ズーム中にレンズがどのように動くのか、実例を挙げて解説されていますので、理解しやすいと思います。


★まとめ:カメラ用レンズをもっと知りたい人に!
 吉田正太郎著、「カメラマンのための写真レンズの科学」を紹介しました。
 レンズ関連の一般解説書(「図解雑学」のような書籍)と、専門書(「光学」とか)の間を埋めてくれる、稀有な書籍であると思います。写真レンズに特化されており、実際の写真レンズを正確に作図して、数式やグラフを豊富に用いて解説していますので、定量的に理解でき、イメージをつかみやすいと感じました。
 レンズについてもっと知りたいが、一般の解説書では物足りない、と感じている「カメラマン」の皆さんに、オススメできる内容だと思います。特に「収差」については、理解をかなり深められるはずです。数式、グラフ、作図などが好きな方でしたら、いっそう楽しめると思います。
 少し残念なのは、理論解説が主眼であり、実際の「写り」との関係について、実例が示されていない点です。これは「写真の撮り方」が書かれた本を読んで、補完する必要があると思いました。


吉田正太郎;カメラマンのための写真レンズの科学、地人書館、(1997)
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