今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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軽く切れる包丁は,どれ?~刃の勾配の重要性
【今日の料理】 2011/5/9 夕食
 今日は,娘(2.9ヶ月)の下痢の経過報告で,病院に行きました.だいぶ便の回数と量が減ったので,心配ないでしょう,とのことでした.
 生後3ヶ月になると,予防接種が始まりますので,その相談もしてきました.色々な種類の予防接種があり,所定の間隔を空けながら受けないといけません.この先,2~3ヶ月は,毎週予防接種を受けにいくことになりそうです.

★米飯

★みそ汁,豆腐・こまつな

★鶏肉ニラ卵炒め
 ブラジル産の柔らか鶏もも肉は,とてもおいしいです.

★白菜となすの煮びたし

★トマト

【今日の料理工学】 軽く切れる包丁は,どれ?~刃の勾配の重要性
 しつこい料理工学は,今日も包丁の話が続きます.

 前々回(「硬度が高い包丁ほど,切れ味が良い?」)では,包丁の先端の接触応力から,無傷の材料表面に傷をつけるのに要する力を,求めました.その結果,破断に要する力は,非常に小さい(刃の先端半径が数μmだと,1N未満の荷重となる)と,推定されました.
 しかし,実際に包丁を使ってみると,材料の切断には,もっと大きな力が必要なのは,明らかです.これは,材料表面に傷をつけた後に,包丁が,材料を切り開きながら進んでいくためと考えられます.このとき,包丁は,材料から反力や摩擦力を受けると思われます.
 今回は,包丁が材料内部を切り進んでいくときに,受ける力について,考察してみます.

 包丁および被切断材を,図1のようにモデル化します.以下を,仮定しています.
 ・包丁は,剛体(変形しない)とする.
 ・被切断材は,ばねの先端に粒子が付いたようなモデルとする.
 ・ばね先端の粒子は,横方向には動くが,縦方向には拘束されるとする.

 材料表面に傷をつける力はわずかと推定されますので,対向する2つの粒子は,最初から分離している,と仮定しています.イメージとしては,対向する2つのブラシの中を,包丁が進んでいく,といったところでしょうか.
<図1>
z20110509z1.jpg

 ここで,
 t:包丁先端の厚み[mm]
 α:包丁表面の傾き角[deg]
 k:被切断材の,単位面積あたりのばね係数[(N/mm)/mm^2]

 包丁が,被切断材の中を,深さD[mm]まで切り進むと,図2のような状態になります.
<図2>
z20110509z2.jpg

 位置xにおける,微小長さΔx(図中はdxと表記)を考えます.この部分の,ばねのたわみ量uxは,次式1となります.
<式1>
z20110509s1.jpg

 Δxの部分に注目すると,ばね先端の粒子に作用する力は,下図3のようになります.
<図3>
z20110509z3.jpg

 ここで,
 ΔQ:ばねから受ける力[N]
 ΔR:縦方向の反力[N]
 ΔN:包丁表面から受ける垂直抗力[N]
 μΔN:包丁表面から受ける摩擦力[N]
 μ:包丁と被切断材の間の動摩擦係数[null]

 ばねから受ける力ΔQは,次式2となります.
<式2>
z20110509s2.jpg

 ここで,
 L:被切断材の,紙面垂直方向の長さ[mm]

 ばね先端の力のつりあいは,次式3となります.
<式3>
z20110509s3.jpg


 式1~3より,次式4を得ます.
<式4>
z20110509s4.jpg

 両辺を,x=0~Dの範囲で積分すると,次式5を得ます.
<式5>
z20110509s5.jpg


 ここで,包丁全体の力のつりあいを考えます.図4のように,包丁の押し込み力をWとします.
<図4>
z20110509z4.jpg

 包丁全体の力のつりあい式として,式6を得ます.
<式6>
z20110509s6.jpg

 式5~6より,次式7を得ます.
<式7>
z20110509s7.jpg

 式7を用いて,押し込み力Wを計算してみます.以下の値を用います.
 ・被切断材の,紙面垂直方向の長さ:L=100mm
 ・被切断材の,単位面積あたりのばね係数:k=0.2N/mm^3 …実験値,後述
 ・包丁先端の厚み:t=0mm …先端は鋭利とする
 ・包丁表面の傾き角:α=1deg,2deg,3deg,の3通り
 ・包丁と被切断材の間の動摩擦係数:μ=0.1 …一般値
 ・押し込み深さ:D=0~50mmの範囲

 なお,kの値は,次のようにして求めました.
 ・厚さ10mm,面積100mm^2(10mm×10mm)の人参を用意した.
 ・実験の結果,この人参の厚さを1mm縮めるのに,約100N(体重計で測定)が必要だった.
 ・上の結果から,被切断材の幅(図1の横方向)が100mm(ばねの長さは50mm)のときのkを,次式で求めた.
  k=(100N/1mm)×(10mm/50mm)÷100mm^2=0.2N/mm^3

 以上の値を用いた計算結果を,図5,図6に示します.
 ・図5:押し込み深さ(切り進んだ距離)Dと,押し込み力Wの関係
  (傾き角α=1deg,2deg,3deg,の3通り)
 ・図6:押し込み深さD=10mmのときの,傾き角αと押し込み力W(図中は切り進み力と表記)の関係
  (摩擦係数μ=0,0.1,0.2,の3通り)
<図5>
z20110509z5.jpg

<図6>
z20110509z6.jpg


 図5と図6から,以下のことが分かります.
 ・押し込み深さが深くなるにつれて,押し込み力は大きくなる.
 ・傾き角αが小さいほど,押し込み力は小さくなる.
 α=1degと,α=3degとでは,押し込み力に約4倍の差が生じています.傾き角のわずかな違いが,押し込み力に大きな影響を与える,と言えそうです.

 ただ,図5では,押し込み荷重が最大400N(≒40kgf)となっています.この荷重は,実際と比べて,大きすぎる気がします.図1のモデルは,被切断材の幅方向(横方向)の両端が,固定されていると仮定しています.実際には,被切断材の両端はフリーですから,被切断材がたわむような変形をします.このため,実際に切断に要する力は,上述よりも小さくなるのだと推定されます.
 また,実際の被切断材は,完全な弾性体ではありません.よって,塑性変形もしますので,今回のモデルよりも,ばね反力は小さくなると思われます.このことも,今回のモデルでは,実際よりも,切断に要する力が大きめに見積もられる原因かもしれません.

(補足) 2011/5/26
 式7で,αが小さい(目安:α<30deg)とすると,次の近似ができます.
 ・sinα≒α[rad]
 ・cosα≒1
 ・tanα≒α[rad]
 さらに,動摩擦係数μ=0,先端厚さt=0としてみます.そうすると,式7は,次のようになります.
  W=k・L・D^2・α^2
 すなわち,押し込み力は,概ね,刃の傾き角の2乗に比例して,大きくなります.例えば,傾き角が2倍になると,押し込み力は4倍になります.刃の傾き角は,押し込み力に大きな影響を与えます.


【今回の結論】
 刃の傾き角(勾配)が小さい包丁ほど,切るときに要する力は,小さいと考えられます.


【バックナンバー】
包丁編・前の記事:100円包丁の断面
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