今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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なぜ包丁は研がなければいけないのか?~硬くても軟らかくてもダメ!
【今日の料理】 2011/5/11 夕食
 今日で,娘が生後3ヶ月になりました.おめでとう!おめでとう!
 続いていた娘の下痢は,だいぶ良くなりました.今日は,体調が戻って機嫌がよいのか,あまり眠らずに,指をしゃぶったりして遊んでいました.
 我が家には,2種類の哺乳ビンがあります.しかし,最近,娘は,哺乳ビンの種類によって,ミルクをなかなか飲まないことがあります.お腹が空いていると,どちらでも飲むのですが.そろそろ,「違いが分かるお年頃」に,なったのかもしれません.

★米飯,十穀入り

★みそ汁,大根・人参

★かれい煮付け
 3切れ300g=198円と,格安のかれいです.圧力鍋,加圧3分.文献[1][2]を参考にしました.たまねぎを加えても良い,という記述[1]があったので,加圧後,たまねぎと小松菜を煮ました.煮魚にたまねぎは,初めてでしたが,なかなかの味わいでした.かれいは,子持ちではありませんが,たんぱくで美味でした.
[1]荻原悦子;改定新版 1600kcalの健康献立,女子栄養大学出版部,(2004)
[2]浅田峰子;基本の台所,グラフ社,(2002)

★きゅうり,トマト

【今日の料理工学】 なぜ包丁は研がなければいけないのか?~硬くても軟らかくてもダメ!
 今日も,包丁の話が続きます.最近,包丁のことばかり考えていて,毎日包丁を研いでいます.おかげで,包丁がとても良く切れるようになって,野菜や肉を切断するのが,楽しくて仕方ありません.トマトとかきゅうりとか,いつもより小さめに切っています.

 さて,前回までの説明で,軽く切れるためには,包丁の刃の先端形状が重要だということが,分かりました.しかし,実際の包丁では,長期の使用に渡って,先端形状を維持することは,難しいと思われます.このために,定期的に,包丁の「砥ぎ」が必要になるわけです.
 私は,これまで月に2回くらい,包丁を研いでいました.しかし,この砥ぎという作業は,人によっては,かなり面倒に感じるものです.できれば,研ぐインターバルは,なるべく長くなって欲しいものです.

 今回は,なぜ砥ぎが必要になるのか,研がなくてよい包丁は可能かどうか,を,考えてみます.

 まず,なぜ包丁は,長く使うと切れなくなるのでしょうか.その原因は,「先端形状がくずれるため」と考えられます.

 では,なぜ,先端形状がくずれるのでしょうか.FTA(Failure Tree Analysis)の手法を使って,考察してみます.FTAは,機械部品などの破損原因を見出すために,よく用いられる手法です.ある事象の原因を,樹図のように細分化していくことを繰り返すことで,根本的な原因にたどり着くことができます(できないこともあります).

 今回は,トップ事象を,「刃の先端形状がくずれる」としました.FTAを行った結果を,下図1に示します.図1には,FTAの結果から推察した,包丁の刃の材料や形状に起因する原因も,記載してあります(包丁の使い方に起因する原因は,除いています).
<図1>
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 専門用語が入っているので,大雑把に解説します.
 まず,破壊ですが,図1中には以下の3つがあります.これらは,図2のようなイメージです.
 ・脆性破壊:衝撃荷重(叩くなど)による破壊.ガラスを割るイメージ.
 ・延性破壊:ゆっくりした荷重による破壊.髪の毛を引っ張って切るイメージ.
 ・疲労破壊:繰り返し荷重による破壊.針金を繰り返し曲げて折るイメージ.
<図2>
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 次に,変形ですが,図3のような2種類があります(図1中には,塑性破壊のみ,あります).
 ・弾性変形:荷重を除けば,元に戻る変形.ばねが変形するイメージ.
 ・塑性変形:荷重を除いても,元に戻らない変形.粘土が変形するイメージ.
 弾性変形は,荷重を除けば戻ります.すなわち,破損には,つながりません.
<図3>
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 最後に,磨耗として,図4のような2種類があります.
 ・凝着磨耗:2つの材料の付着の後,一方が破断する磨耗.消しゴムと紙が,摺り減るイメージ.
 ・アブレシブ磨耗:硬い物質が,材料を削りとる磨耗.やすりで削り落とすイメージ.
<図4>
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 ここで,図1には,「特に重要そうな原因」から「あまりありそうでない原因」まで,並列して記載されていることに,注意が必要です.例えば,先端の塑性変形などは,包丁の先端が,狭い面積で大きな荷重を受けることを踏まえると,非常にありそうです.一方で,先端のアブレシブ磨耗は,包丁より硬いものを切るときに生じるものですから,通常はあまり起きそうにありません.

 さて,図1で示された原因から,刃の材料および形状でとれる対策を,検討しました.結果を,下図5に示します.
<図5>
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 図5から,包丁の刃の先端形状を保つためには,次のことが必要と考えられます.
 ●材料に対する要求
 ・強度(じん性・静的強度・疲労強度)が高いこと.
 ・表面硬度が高いこと.
 ・耐食性が高いこと.
 ・被切断材との親和性(付着性)が低いこと.

 ●形状に対する要求
 ・必要以上に鋭利な形状としないこと.

 これらのうち,材料の強度が,特に重要と思われます.(よく言われる「耐摩耗性」は,あまり重要でないかもしれません.)
 じん性,静的強度,疲労強度は,それぞれ,脆性破壊,延性破壊,疲労破壊,に対する強度です.一般に,静的強度と疲労強度は,材料の硬度(硬さ)が大きいほど優れます.一方で,じん性は,材料の硬度が大きいほど劣ります.したがって,上の3つの強度を同時に高めることは,一般的には簡単ではありません.

 以上のように,包丁の材料は,硬すぎれば欠け(脆性破壊),軟らかすぎれば変形(塑性変形)または折れ(延性破壊),ということになります.「研がなくてよい包丁」を作り出すのは,はなはだ困難そう,と推察されます.

(補足1)
 包丁では,まな板の衝突による破損が,切れ味低下の主要因と推察されます.このため,切れ味を長期間持続するためには,材料の強度が,特に重要と推察されます.
 一方で,同じ刃物であっても,「はさみ」では,大きな衝突力は通常作用しません.しかし,はさみでは,2つの刃が,絶えず摩擦しています.このため,磨耗,とくに凝着磨耗が,切れ味低下の主要因と推察されます.したがって,はさみの切れ味を長期間持続するためには,凝着磨耗しにくい材質を選ぶことが,特に重要と思われます.異種金属の摩擦では,凝着磨耗が生じにくいことが知られています.はさみの2つの刃の材質を変えると,切れ味の持続するはさみが実現できるかもしれません.


【今回の結論】
 包丁の材質が硬ければ欠けやすく,軟らかければ変形しやすいと考えられます.よって,研ぐ必要のない包丁を作り出すのは,はなはだ困難と思われます.



【バックナンバー】
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