今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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マーガリンが固形を保てる秘密~飽和/不飽和脂肪酸
【今日の料理】 2011/9/27 夕食
 今日は,妻と娘(7.5ヶ月)は,「ベビーサイン」の講習会に行きました.ベビーサインとは,赤ちゃんが話し始める前にすることができる,手話のようなものです.例えば,ミルク,ねんね,おいしい,などの表現があるそうです.これがうまくできると,意思の疎通ができるようになって,格段に育児が楽になりそうです.成果を期待しています.
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★米飯

★みそ汁,こまつな

★鶏肉とじゃがいもの煮物
 鶏手羽元(100g=78円)とじゃがいも,たまねぎを,圧力鍋で煮ました.加圧3分.味付けは,ほんだし・ヤマサ昆布つゆ・みりん.あまり良い鶏肉ではなかったようで,脂っこくなってしまいました.

★人参・ナス・しめじの炒め煮
 昼食の残り.

★トマト

★奈良漬け

★りんご

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【今日の料理工学】 マーガリンが固形を保てる秘密~飽和/不飽和脂肪酸
 前回に引き続き,食材編,油脂の話です.
 前回は,オリーブ油となたね油(サラダ油)に含まれる「脂肪酸」の種類と量を比べました.今回は,さらにいろいろな種類の油脂について,含まれる脂肪酸を比較してみます.


★いろいろな油脂に含まれる脂肪酸
 以下の油脂について,含まれる脂肪酸の種類と量を調べました.前回同様,「日本食品標準成分表」[1]で調べました.
 ・オリーブ油
 ・なたね油
 ・ラード(豚脂)
 ・牛脂
 ・イワシ脂
 ・バター
 ・マーガリン
 ・ココア脂
[1]文部科学省;五訂増補 日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu3/houkoku/1299179.htm

 結果を下図1に示します.
<図1>
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※イワシ脂はマイワシ,バターは有塩バター,マーガリンはソフトタイプ,ココア脂はピュアココア,の値を用いた.

 図1では,積み上げ棒グラフの下に積まれた脂肪酸ほど,融点が高くなるように並べました(一部,逆順あり).各脂肪酸の融点は,次の通りです(ウィキペディアの記述より.融点は,文献により差が見られるので,注意が必要です).
 ・ステアリン酸   : 70℃(炭素数=18,二重結合数=0)
 ・パルミチン酸   : 63℃(炭素数=16,二重結合数=0)
 ・ミリスチン酸   : 54℃(炭素数=14,二重結合数=0)
 ・オレイン酸    : 16℃(炭素数=18,二重結合数=1)
 ・パルミトレイン酸 :  5℃(炭素数=16,二重結合数=1)
 ・リノール酸    :- 5℃(炭素数=18,二重結合数=2)
 ・α-リノレン酸  :-11℃(炭素数=18,二重結合数=3)
 ・イコサペンタエン酸:-54℃(炭素数=20,二重結合数=5)
 ・ドコサヘキサエン酸:-44℃(炭素数=22,二重結合数=6)
 なお,炭素の鎖部分に二重結合がないものを「飽和脂肪酸」,二重結合が1個以上あるものを「不飽和脂肪酸」と呼びます.


★いろいろな油脂の融点
 前回と同様にして,それぞれの油脂について,脂肪酸の平均融点を計算してみました.結果を下図2に示します.図2には,油脂の実際の融点も記載しました.
<図2>
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※実際の融点は,オリーブ油・ココア(ココアバター)は文献[2],なたね油は文献[3],ラード・牛脂は文献[4],イワシはデータ見つからず,バターは文献[5],マーガリンは文献[6]による.記載に幅がある場合は,中央値を用いた.
[2]金田油店;油の情報サイト
 http://www.abura-ya.com/oil/item/oribu.html
[3]カネダ;油脂毎の脂肪酸組成表
 http://pci.kaneda.co.jp/contents/introduce/composition/index.html
[4]岡山大学;肉の常識
 http://www.agr.okayama-u.ac.jp/amqs/josiki/
[5]ニシカワ食品;
 http://www.nishikawa-foods.co.jp/genzairyou05.html
[6]日本マーガリン工業会;マーガリンの基礎知識
 http://www.j-margarine.com/index.html

 図2を見ると,バラツキはありますが,概ね,脂肪酸の平均融点が高いほど,油脂の融点も高くなる傾向があります.
 動物性油脂であるラード(豚脂)や牛脂は,常温では固体です.これらは,植物油(オリーブ油やなたね油)に比べて,融点が高い脂肪酸(ステアリン酸,パルミチン酸などの飽和脂肪酸)が多く含まれ,平均融点が高いためと考えられます.
 同じ動物性油脂でも,イワシ脂は,常温で液体です.これは,イコサペンタエン酸(EPA)やドコサヘキサエン酸(DHA)などの,融点の低い不飽和脂肪酸が多く含まれ,平均融点が低いためと考えられます.EPAやDHAは,「健康に良い」として,話題に上ることがあります.
 一方,植物性油脂でも,ココア脂(ココアバター,カカオバター)は,融点が高くなっています.チョコレートは,常温では固体ですが,口に入れると溶けます.これは,35℃程度という,絶妙な融点のなす業です.ココア脂には,ステアリン酸,パルミチン酸などの飽和脂肪酸が多いため,平均融点が高くなっています.
 チョコレートも牛肉も,食べると「幸せ」を感じます.これらの成分であるココア脂と牛脂で,脂肪酸の構成が似ているのは,面白いと思います.

 
★マーガリンが固形なのはなぜ?
 マーガリンの主原料は,油脂です.約60%は植物油で,残りは,魚油・ラード・牛脂などを使っているとのことです[6].
 たいていの植物油は,冷蔵庫で保管しても液体を保ちます(オリーブ油は特殊な例).常温で固体のラードや牛脂が混ざるにしても,マーガリンは,なぜ固形を保つことができるのでしょうか.

 秘密は,マーガリンの製造方法にあります.

 マーガリンは,液体の油に,「水素添加反応」という化学処理を行うことで,油を固体化しているのです.下図3は,水素添加反応によって,不飽和脂肪酸(二重結合あり)の「オレイン酸」を,飽和脂肪酸(二重結合なし)の「ステアリン酸」にする例です.
<図3>
20110927z5.jpg
 下図4は,前回示した,脂肪酸の炭素数と融点の関係のグラフです.
<図4>
20110927z4.jpg
 炭素数が18個の脂肪酸に注目します.この場合,炭素の鎖部分の二重結合の数によって,次のような脂肪酸になります.
 ・二重結合=0個:ステアリン酸
 ・二重結合=1個:オレイン酸
 ・二重結合=2個:リノール酸
 ・二重結合=3個:α-リノレン酸
 図4から,水素添加反応によって,二重結合の数が減るにしたがって,融点が高くなることが分かります.すなわち,常温で固体を保ちやすくなると考えられます.このような方法で固体化した油を,「硬化油」と呼ぶそうです.

 マーガリンは,以上のように,水素添加反応によって,不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変えます.これによって,油脂の融点を高くして,常温でも固体を得られるようにしているのです.
 ただ,この水素添加反応には,困った点があります.二重結合に作用して,うまく水素を付与できれば良いのですが,水素を付与できず,二重結合が保たれる場合があるのです.ウィキペディアの記述によると,炭素の二重結合には,折れ曲がった「シス型」と直線の「トランス型」があるそうです.天然の植物油脂の二重結合は「シス型」ですが,水素を付与しそこねた二重結合は「トランス型」になる場合があるようです.
 このような「トランス型」の二重結合を持つ脂肪酸を「トランス脂肪酸」と呼びます.トランス脂肪酸は,悪玉コレステロールを増大するおそれがあるとされ,健康への影響が懸念されているようです[6].

 油脂は,3大栄養素のひとつで,重要な栄養素です.にもかかわらず,ことあるごとに健康への悪者扱いをされて,少々気の毒な気がします.


【今回の結論】
 飽和脂肪酸を多く含む油脂(ラード・牛脂・ココアなど)は,常温でも固体を保ちます.不飽和脂肪酸を多く含む油脂(なたね油・魚油など)は,常温で液体です.
 マーガリンは,水素添加反応によって,不飽和脂肪酸を飽和脂肪酸に変化させたものです.


何かと敬遠される油脂ですが,少なくともガリ痩せの私は,適量の油脂をとりたいです.応援よろしくお願いします.
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アブラというのは本当に面白いですね。
人間が美味しいと思ってしまうものに砂糖と油があるわけですが、
脂は人間の口の中で解けていないと美味しさを感じないんですよね。
牛肉と鶏肉では鶏のほうが冷製料理にも向く訳で、料理って科学だなぁ、といつも思う生化学出身の管理栄養士でした。

因みに・・・
貧乏臭い話ですが、お安い輸入牛は和牛の油を使って焼くとちょっと美味しさアップ。
対面販売の売り場で脂を分けてもらうのがミソ、と昔何かでやってました。
分けてくれるんだろうか?
| URL | 2011/09/28/Wed 09:16 [編集]
コメントありがとうございます。

 本当に、料理は科学ですね。
 私は機械屋なので、化学関連は疎いので、いろいろ調べてみると、とても勉強になります。

 和牛の脂は… ちょっと、頼みにくいですね。気が小さいもので。
マツジョン | URL | 2011/09/28/Wed 22:32 [編集]



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