今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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ふっ素樹脂ケーキ型は焼き上がりが遅い?~差は僅か
【今日の料理】 2011/5/3 夕食
 昨日今日と,娘(2.8ヶ月)が,とても良くしゃべるようになりました.しゃべる,と言っても,まだアーとかウーとか声を出すだけなのですが.
 グズグズ始めたときに,何事かと近づくと,笑顔になって声を上げる,というパターンが多いです.さびしい,とか,暇だ,とかいう感情が,芽生えつつあるのでしょうか.


★米飯,十穀入り

★みそ汁,なす・キャベツ

★さば味噌煮
 圧力鍋,加圧5分.レシピは文献[1].
 さばは,熱湯をかけた後,洗って臭みをとりました.あとは,ネギと調味料と一緒に入れて,煮るだけ.
 圧力鍋で調理すると,味はあまり染みないのですが,その分,さっぱりした味になって,食べやすいです.一緒に煮たネギも,トロトロになって美味でした.
[1]牛尾理恵;圧力鍋でスグでき!人気おかず,学研,(2010)

★さつまいもレモン煮
 昨晩の残り.酸っぱすぎて,売れ残っています.

★かぶの浅漬け
 薄切りのかぶを塩もみして,塩昆布と混ぜただけ.妻の好物です.

【今日の料理工学】 ふっ素樹脂ケーキ型は焼き上がりが遅い?~差は僅か
 前回まで,ふっ素樹脂コーティングのフライパンについて,考察を続けてきました.
 さすがに,飽きてきたと感じる方も多いかと思います.そこで,今回は,テーマをガラリと変えようと,考えました.

 今回のテーマは,「ふっ素樹脂コーティングのケーキ型」です.なるほど,意表をつく展開ですね.

 妻は,ときおりケーキを作るのですが,悩みの種があります.油を使わない,ヘルシーなケーキを好んで作るため,ケーキ型に,カスがこびり付いてしまう,ということです.
 そこで,最近は,ふっ素樹脂コーティングのケーキ型を,使うようにしています.
 このケーキ型でも,残念ながら,こびりつきは,あまり防げません.しかし,しばらく水に漬けておけば,比較的簡単に,カスを取り去ることができます.(以前のブリキの型は,カスを取り去るのが,とても大変で,丸ごと捨ててしまいたくなるほどでした.)

 さて,便利なふっ素樹脂ケーキ型ですが,「コーティングがある分,焼き上がり時間が遅くなるのでは?」という,疑問があります.

 今回は,次の2つのケーキ型について,温度分布の変化を,数値計算で比較してみました.
 a)ふっ素樹脂コーティングあり
 b)ふっ素樹脂コーティングなし

 ケーキ型の諸元は,以下の通りです.
 ・型の材質:鋼材
 ・型の壁面厚さ:0.5mm (当方所有のケーキ型の実測値)
 ・コーティングの材質:ふっ素樹脂(PTFE)
 ・コーティングの厚さ:30μm,壁面の表・裏にコーティング
 ・ケーキ収容空間の幅:100mm

 以上のケーキ型について,当ブログ「哺乳ビンのミルクは,どれくらい待てば適温になるか?」の回でやったのと同様の,熱分布の数値解析を行いました.簡単のため,1次元の解析としています.すなわち,ケーキの左右面から,ケーキ型の壁面を通して入ってくる熱だけを考えました.(ケーキの上下面は,断熱としました.)

 また,今回の解析では,コーティング部分の厚さが非常に薄いので,分割のための短冊の幅を,場所によって変えられるように,改造しています.また,細かい時間刻みで,長期間の解析が必要なため,エクセルのマクロで,プログラムを組んでいます.

 計算条件は,以下のようにしました. 
 ・ケーキおよびケーキ型の初期温度=20℃
 ・周囲の温度は,200℃を保つとする.(200℃のオーブンを想定)
 ・時間キザミ幅=0.0005s
 ・短冊の分割幅
  ・ケーキ:16.7mm(分割数=6)
  ・ケーキ型:1.67mm(分割数=3)
  ・コーティング:10μm(分割数=3)

 用いた物性値は,以下の通りです.
 ●ケーキ(水の値を用いた)
 ・熱伝導率=0.6 W/m・K
 ・比熱   =4200 J/kg・K
 ・密度   =1000 kg/m^3

 ●鋼材
 ・熱伝導率=50 W/m・K
 ・比熱   =460 J/kg・K
 ・密度   =7800 kg/m^3

 ●ふっ素樹脂(PTFE)
 ・熱伝導率=0.25 W/m・K
 ・比熱   =1000 J/kg・K
 ・密度   =2200 kg/m^3

 以上の条件の下,計算した結果を,以下に示します.
 まず,下図1は,ふっ素コーティングありの計算結果です.横軸はケーキの幅方向の位置,縦軸は温度です.線が複数あるのは,時間ごとの温度分布を示しています.時間とともに,ケーキの温度が上がっています.時間t=3000s(50min)で,ケーキ中心の温度が50℃になっています.
<図1>
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 下図2は,ふっ素コーティングなしの計算結果です.図1と,同様の傾向が,見て取れます.
<図2>
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 下図3は,ケーキの中心の温度の時間変化を,コーティングあり/なしで,比較したものです.50min後で,両者の温度差は,2℃程度と,わずかでした.
 この結果を見ると,「ふっ素樹脂コーティングのケーキ型は焼き上がりが遅い」というのは,あながち間違いではありません.しかし,その差は,素人料理人が気にするほどではないと,言えそうです.
<図3>
z20110503z3.jpg
 前回検討したフライパンの結果から予想されるほどは,ふっ素コーティング有無の差が現れませんでした.この理由は,以下のように考えられます.
 コーティングなしでは,加熱開始からすぐのときは,コーティングありに比べて,壁面付近ではケーキの温度の上昇が早くなっています(図1と図2の,t=500s,位置40mm付近を比較すると,10℃以上の差がある).しかし,壁面付近の温度上昇が早いために,壁面の両側の温度差がすぐに小さくなり,流入熱量が減ります.このため,時間が経つと温度が上がりにくくなって,ふっ素コーティングありとの差が,小さくなっていきます.

 この結果から考えると,ふっ素樹脂コーティングあり/なしの調理器具(フライパン,ケーキ型など)は,以下のように使い分けることが,望ましいと思われます.
 ・短時間で一気に加熱したい料理
  →ふっ素樹脂コーティングなし,がよい.
 ・じっくりと加熱する料理
  →ふっ素樹脂コーティングあり/なし,どちらでもよい.

(補足)
 この数値解析では,50分後のケーキの中心温度が50℃になっています.しかし,実際のレシピでは,20分程度で焼きあがります.すなわち,20分後には,ケーキの中心温度は,100℃程度になっているのでしょう.この相違の原因としては,今回の計算では,型の上面(開放面)からの,熱の流入を考慮していないことが,挙げられます.
 実際のケーキ型では,ふっ素コーティング有無の差がない,型の上面からの熱の流入があるから,コーティング有無による温度分布の差は,今回の計算結果よりも,より縮小するだろうと思われます.

(補足2) 2012/4/7
 実際のケーキでは、100℃で、水分の蒸発が始まります。水分が蒸発するまでの間は、100℃を保つと思われます。上の解析では、これを考慮していません。蒸発を考慮した解析については、「揚げもの」の記事で詳しく述べています。興味のある方は、ご参考下さい(→こちら)。


【今回の結論】
 ふっ素樹脂コーティングのケーキ型でも,焼き上がり時間への影響はほとんどない,と考えられる.


【バックナンバー】
ふっ素樹脂編・前の記事:フライパンの熱伝導

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