今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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圧力鍋での調理は,どれくらい速い?~たった20℃で,速度は5倍
【今日の料理】 2011/4/10 夕食
 今日は,妻が作ってくれました.感謝.



★アボガドとサーモンのユッケ丼
 スモークサーモンとアボガドを,豆板醤・醤油・オイスターソース・にんにくすりおろしで和えたものを,ご飯に乗せました.ご飯と混ぜて食べると,ちょうどよい味でした.

★みそ汁,こまつな・わかめ

★きんぴらごぼう

★きゅうりとキャベツの浅漬け
 塩昆布が,アクセントです.


【今日の料理工学】 圧力鍋での調理は,どれくらい速い?~たった20℃で,速度は5倍
 「いつものレシピを,圧力鍋で調理したい」と考えたときに,困ることがあります.「圧力鍋を使ったときに,調理時間をどれくらいにすればよいか?」という問題です.ちょうどよく,圧力鍋でのレシピがあればよいのです.しかし,レシピがない場合には,どれくらいの時間を,目安にすればよいのでしょうか.今回は,この点について,考察します.


 前回までに,圧力鍋の調理において,①圧力と温度の関係,②温度と煮えるまでの時間の関係,が分かりました.具体的には,温度T[K]と,煮えるまでの時間tb[min]の間には,次式1の関係がありました.
<式1>
z20110410s1.jpg

ここで,
 α:「煮えた」と判定したときに,素材の中に構造が破壊されずに残っている部分の割合
 A:頻度定数(素材で決まる)
 E:活性化エネルギ(素材で決まる)
 R:気体定数

 今回は,上の式の定数AとEが,実際の料理において,どのような値をとるのかを,調べてみようと思います.

 定数AとEを求めるためには,以下の手順が必要です.
 1)いくつかの温度T1,T2,…で,同じ料理の調理を行って,煮えるまでの時間tb1,tb2,…を調べる.
 2)最小二乗法などによって,式1にカーブフィットを行い,定数E/Rとln(ln(1/α)/A)を求める.

 つまり,同じ料理を,調理温度を変えて(または調理圧力を変えて),何度も作らないと,定数を求めることができません.これは,とても大変そうです.
 そこで,今回は,公開されているレシピの記述から,圧力と調理時間の関係データを得ることにしました.以下の文献の記載を用いました.
[1]ワンダーシェフ;高圧圧力鍋の紹介ページ
 http://www.wonderchef.jp/cooker/highest/
[2]浅田峰子;基本の台所,グラフ社,(2002)
[3]牛尾理恵;圧力鍋でスグでき!人気おかず,学研,(2010)

 文献[1]には,都合の良いことに,3種類の料理(煮豆,角煮,煮魚)ついて,普通鍋および2種類の圧力の圧力鍋(0.178MPaと0.244MPa)で,調理時間(加熱時間)を比較しています.圧力0.178MPaが,通常の圧力鍋で,圧力0.244MPaが,新製品の高圧圧力鍋,とのことです.
 また,文献[2]では,標準的な肉じゃがの,普通鍋を用いたときの調理時間が記載されています.これを,文献[3]に記載された,圧力鍋による肉じゃがの調理時間と比較しました.文献[3]には,圧力鍋の圧力は記載されていませんが,通常の圧力鍋用のレシピなので,文献[1]の0.178MPaとしました.
 また,圧力と温度の関係は,以前の考察の通り,下のグラフで表せます.(※「圧力鍋の中の温度は?」より)
z20110410z1.jpg

 このグラフから,圧力と温度の関係は,以下のようになります.
 ・普通鍋(0.1MPa):100℃(=373K)
 ・圧力鍋(0.178MPa):117℃(=390K)
 ・高圧鍋(0.244MPa):127℃(=400K)

 以上をまとめると,下表のようになります.
z20110410z2.jpg

 この結果を,横軸を温度[K]の逆数,縦軸を調理時間[min]の対数としたグラフにプロットすると,以下のようになりました.
z20110410z3.jpg


 以上の結果から,最小二乗法で,定数E/RおよびB=ln(ln(1/α)/A)を求めると,以下のようになりました.また,α=0.2として,Aを求めました.
 ・煮豆:E/R=15000,B=-35.9,A=6.38×10^15
 ・角煮:E/R=9420,B=-20.7,A=1.53×10^9
 ・煮魚:E/R=7760,B=-16.7,A=2.88×10^7
 ・肉じゃが:E/R=15300,B=-38.2,A=6.35×10^16
 これらの定数の意味ですが,ざっくりと言えば,E/R:温度の影響の大きさ(大きいほど影響大),B:素材の元々の煮えやすさ(小さいほど煮えやすい),ということと思われます.

 さて,冒頭の,「圧力鍋を使ったときに,調理時間をどれくらいにすればよいか?」への回答を,考察します.

 通常調理での温度T=100℃=373Kで,調理時間をtbとします.また,圧力鍋調理時の温度増分ΔT=20℃として,調理時間をtb'とします.式1から,調理時間tb'とtbの比は,次式2で表せます.ここで,ΔT/Tが微小量なので,(1+ΔT/T)^-1≒1-ΔT/T の近似をしています.
<式2>
z20110410s2.jpg

 この結果に,上述のレシピから求めたE/Rの平均値12000を代入すると,
 tb'/tb=0.18 
となります.
 つまり,圧力鍋を使うと,調理時間は約0.2倍,つまり,約1/5に短縮できる,ということが分かりました.圧力鍋を使うことによる,約20℃の温度の上昇が,これほどまでに煮える速さに影響するとは,驚きです.
 このように,温度上昇の,素材の劣化への影響が大きいことは,機械部品や電子部品の加速耐久試験に,しばしば利用されているようです.

 なお,圧力0.2MPa(高圧調理モード)だと,上述の通り温度は120℃ですが,圧力0.17MPa(低圧調理モード)では,温度は117℃となります.この場合には,tb'/tb=0.23ですので,調理時間は,通常の約1/4程度になります.圧力切り替え機能がある場合に,どの圧力に設定すべきかを検討するとき,参考になるかもしれません.(実際の圧力は,使用する圧力鍋によって異なります.圧力は,説明書等に記載されているものもあります.)

【今回の結論】
 圧力鍋を使うと,調理時間は約1/5に短縮されます(圧力0.2MPaの場合).


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