今日のおじさん、なに食べました? (仮)

妻の料理と、おじさんの毎日の記録です。ほんのり工学テイスト。

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「破裂しないスリット入り切り餅」をめぐる特許紛争
【今日の夕食】
 娘(1歳7ヶ月)の下痢は、病院に行ったところ、たいしたことではなかったようです。とりあえず、胃腸に負担のかからないものを食しなさい、とのことでした。少し熱が出てきましたが、元気があるので、大丈夫そうです。
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★米飯

★かぼちゃ裏ごしスープ

★銀ダラ塩漬け
 妻が、通販で買ったものです。貯まった楽天ポイントを使ったとのこと。

★キャベツウインナー

★納豆+白菜昆布


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【今日のおじさん】「破裂しないスリット入り切り餅」をめぐる特許紛争
 新聞で、気になる記事を見つけました。側面に切り込みを入れた切り餅の特許をめぐる裁判で、「佐藤食品工業」が敗訴したとのことです[1]。勝訴したのは、「越後製菓」です。
[1]産経新聞、「佐藤食品の敗訴確定」、2012/9/21付、24面


★裁判の争点は?
 今回問題となった越後製菓の特許を、調べてみました。特許電子図書館[2]で、以下の条件で検索しました。
 ・要約の語句=餅orもち
 ・出願人  =越後製菓
[2]工業所有権情報・研修館;特許電子図書館
http://www.inpit.go.jp/ipdl/service/

 それらしい特許が、見つかりました。次の2件です。
 a)特許4111382(特願2002-318601 2002/10/31出願)
 b)特許4636616(特願2002-318601 2002/10/31出願の分割)
 いずれも、元の出願は同じです(途中で分割されています)。

 記事[1]によると、問題となった佐藤食品の切り餅は、下図1のような構成のようです。側面および上下面に切り込み(溝、スリット)が入っています。この切り込みがあると、焼いたときに中身が飛び出さず、きれいに焼けるようです。
<図1>
20120921z1.jpg
 この佐藤食品の構成と、越後製菓の特許との関係を調べました。
 まず、a)特許4111382との関係です。各請求項(クレーム)について、構成要件を対比しました。下表のようになります(クリックで拡大します)。
20120921z3.gif
 表中、○は佐藤食品の構成が該当する箇所です。餅であること、側面に溝があること、などが、○印です。

 次に、?を付けた箇所は、構成(形状、寸法など)だけでは判断できない箇所です。例えば、焼いたときに切り込み部を境に上部が持ち上がる、という風な記載があります。しかし、これは、実際に焼いてみないと、どうなるか分かりません。仮に、他社の類似した製品を見つけたとします。しかし、この類似品が本特許を侵害しているかどうかは、見た目だけでは判断できません。実際に焼いて、データをとって、証拠を集めないと、自分の特許を侵害しているとは断定しにくいです。これは、発明者にとって、非常にやっかいです。(このような問題を回避するには、作用効果はクレームしないほうがよい。)
 ただ、今回の例では、「佐藤食品が切り込みを積極的に宣伝」[1]したそうです。この宣伝において、溝で上下が分かれて中身の飛び出しを防ぐ、という内容を言っていた可能性が高そうです。そうすると、佐藤食品は、この作用効果の部分を有さないと言って逃げるのは、難しくなります。

 最後に、表中の★をつけた箇所は、議論の余地がある部分です。「底面または平坦上面でなく~側周表面に、~切り込み部又は溝部を設け」とあります。これは、餅の上下面ではなく側面に溝を入れた、という内容です。この記載の意図する内容については、次の2通りに判断が分かれそうです。
 A)上下面については言及しないが、上下面でない面(側面)には溝を設ける。
 B)上下面を意図的に避けて、上下面を除く面(側面)に溝を設ける。

 この部分がAを意図していれば、佐藤食品の切り餅は、この構成に該当します。上下面はどうあれ、側面に溝があるからです。逆にBであれば、この構成には該当しないことになります。1箇所でも該当しない構成があれば、特許を侵害しているとは認められません。おそらく、裁判では、この部分の解釈が争点になったのだろうと想像します。

 この特許による切り餅の構成を、下図2に示します。上下面の溝の有無が、判断の分かれそうな点です。
<図2>
20120921z2.jpg


★もうひとつの特許を見ると
 次に、もうひとつの特許、b)特許4636616を見ます。構成要件の対比は、下表の通りです(クリックで拡大します)。
20120921z4.gif
 こちらは、○印と?印だけで、★印はありません。上下面の溝の有無については、一切書かれていません。そして?印は、a)と同様に作用効果の記載です(製造方法の箇所もある)。前述の通り、中身の飛び出しを防ぐという作用効果については、佐藤食品が言い逃れるのは困難そうです。
 そうすると、本特許については、佐藤食品の切り餅がこの特許と異なると主張するのは、なかなか難しそうです。この特許を知りながら図1の切り餅を販売した佐藤食品は、かなりチャレンジングに思えます。

 今回の裁判では、越後製菓が勝訴しました。しかし、越後製菓としても、特許の内容につけいる隙がありました。ひとつは、作用効果までクレームしてしまった点。もうひとつは、上下面の溝に関する記載が曖昧だった点。明細書に「上下に溝を設けてもよい」の一言さえ入れておけば、裁判をもっと有利に進められたかもしれません(1審では佐藤食品が勝訴している[1])。


★なぜ侵害してしまったのか?
 この特許侵害の話を聞いたとき、当初はこう思っていました。すなわち、越後製菓に先を越された佐藤食品が、越後製菓の特許を研究して、侵害しないような構成を考えて、実施したのだろう、と。
 しかし、実際には、違うようです。佐藤食品は、越後製菓の特許の出願後すぐに、図1の構成の切り餅を特許出願しています。次の特許です。
 c)特許3620045(特願2003-275876 2003/7/17出願)
 越後製菓の特許は、2002/10/31出願、2004/5/27公開です。つまり、佐藤食品は、越後製菓の特許が出願されたのを知ることなく、図1の切り餅を自社特許として出願しています。どうしてこのようなタイミングになったのか、次の2つの可能性がありそうです。
 イ)単なる偶然。
 ロ)越後製菓が特許出願後すぐに製品を出して、その製品を見て佐藤食品が類似特許を考案した。

 イの単なる偶然は、あまりありそうにない、と感じるかもしれません。しかし、個人的な経験からすると、同業他社では、似たような内容の特許を、似たような時期に出すことが、たびたびあるように感じます。これは、同業他社では、似た顧客を抱えており、似たニーズが似たタイミングで現れやすいため、と考えています。
 もし、今回の切り餅の件が、上のイ)だとしたら、佐藤食品は開発競争に遅れをとった、ということです。ロ)だとしたら、もう少し特許に配慮するべきだったかもしれません。しかし、特許公開は出願から1年半かかります。約1年半もの期間、遅れをとるわけにはいかない、という判断だったのかもしれません。

 いずれにせよ、結果として、他社特許を侵害してしまいました。今回の判決では、販売差し止めと約8億円の損害賠償が命じられたとのことです[1]。機械製品の設計に関わる身として、ひとごとではありません。よその特許を侵害しないように、十分な注意をしたいところです。また、他社にマネされないように、抜け道のない・強い特許を作るように、努力しないといけません。


 件の切り餅「パリッとスリット」は、Amazonでまだ販売しているようですが、まだ買えるのかしら?サトウの切り餅ファンは、今のうちに買っておかないと!


(補足)2012/9/23
 佐藤食品の「パリッとスリット」の、最近の現品を確認しました。上下面の十字スリットは図1の通りですが、側面のスリットは無くなっているようです。この構成であれば、問題の特許には干渉しません。なるほど。


娘はまだ切り餅は食べませんが、尻餅はつきます。応援よろしくお願いします:

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